萌えの力

最近「歴女」と呼ばれる女性がいきなり増えてきたような気がするのは私だけだろうか。
一昔前なら「歴史が好き」と言えば年寄りくさいだの、女の子らしくない、挙句の果てには「オタクっぽい」とまで言われていた。
しかし現在はそんな無料出会い系サイトでは女性をターゲットに、歴史や史跡巡りについてわかりやすく書かれた雑誌や本などがこれでもか、と発行されたり、観光地が女性観光客を誘致するために様々なプランを提示したり、愛らしいキャラクターやグッズで誘惑したり、はたまたメディアで「歴女特集」が組まれたり…と「歴女」という存在が徐々に認知されつつあると思う。
まさに一世を風靡しつつある「歴女」。
一体全体、どうしていきなり「歴女」が急増したのだろうか。
私はその一端を担っているのはカプコンから発売された「戦国BASARA」というゲームではないか、と睨んでいる。
この援交募集サイトの舞台は日本の戦国時代。
伊達政宗や真田幸村と言った数々の武将を使って日本統一を目指す、というアクションゲームだ。
歴史物のアクションゲームといえばコーエーから発売された「無双シリーズ」が有名だが、「戦国BASARA」はゲームシステムは似ているもののストーリーがぶっ飛んでいる。
会話の端々に英語を散りばめながら六本の刀を使う伊達政宗、殴り飛ばされて岩に叩きつけられても嬉々としている真田幸村、まるで宝塚に出てくる役者のような上杉謙信。
そして極め付けが某ロボットアニメを髣髴とさせる外見、起動音と共に敵をなぎ倒す本田忠勝。
無論、これらの人物は史実上こんな人物であるわけがないし、そんな素振りを見せたという記録は一切ない。
そのため、初めてプレーした時はこれらキャラクターの濃さに驚き、笑いを抑えるのに必死だった。
しかし「戦国BASARA」はキャラクターの操作性がよくアクションが苦手な人、特に女性でも敵をバッサバサと切り倒せるので、ぶっ飛んだストーリーと合わせてかなりの爽快感を得られるのが魅力の一つでもある。
また「戦国BASARA」に登場するキャラクターは斜め上設定ではあるものが多いがその分ビジュアルはとても良く、ゲームを進めていくとキャラクター同士がライバルとして互いを意識したり、意外な関係性を持って協力体制を敷いたりと腐女子の心を掴むには十分すぎる設定が数多く存在する。
こうなると腐女子としてはキャラクターの事をもっと知りたくなるので、実際に史実を調べて徐々に「歴女」として変貌していくのだ。
実際にこのゲームがきっかけで歴史が好きになり、今ではすっかり史跡巡りマニアになった腐女子の友人がいる。
彼女曰く「歴女と腐女子は違う。
歴女は史実の武将でカップリングを作って萌えたりはしない!」とのことらしいが、歴女になったきっかけがこのゲームで、しかも元々このゲームのキャラのカップリングで萌えていたとしたらその定義は崩れるのではないだろうか、と私は密かに思っている。
ともあれ、宮城県の知事選の広報用ポスターにこのゲームのキャラクターが使われたり、各武将の出身地でキャラクターのグッズが売られているのを見ると本当にこのゲームは「歴史好きの女子」を認知させる上で一役買ったのだとしみじみ感じてしまう。
全く、萌えの力というものはつくづく恐ろしいものである。

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